高齢者の筋トレは、軽い運動だけでいいのでしょうか。「年齢を重ねたら重いものは危ない」と思われることもありますが、安全に配慮しながら現在の身体に合った負荷をかけることが大切です。
「もう年だから筋トレは軽くていい?」
「60代・70代から筋力って増える?」
「マシンを使うのは危なくない?」
「スクワットは若い人がするもの?」
「今さら始めても意味がない?」
今日9月15日は「老人の日」です。
また9月15日から21日までは「老人週間」と定められています。
だから今日は、「年齢を重ねたら運動量を落とす」という話ではなく、
年齢を重ねても自分の身体を動かせる筋力をどう作るか
を考えてみます。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者にも筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。
さらに筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた多要素な運動を週3日以上行うことも推奨されています。
年齢を重ねたら、筋トレをやめる。
ではなく、
年齢や身体の状態に合わせて筋トレを続ける。
これが高齢者の筋トレを考えるうえで大切なスタート地点です。

高齢者の筋トレは「軽く動けばOK」ではない
まず、筋力トレーニングとは何でしょうか。
厚生労働省は、筋トレを
筋肉に負荷をかけ、筋力を向上させる運動
として説明しています。
つまり、
動けば何でも筋トレ。
軽ければ軽いほど安全。
という意味ではありません。
例えば椅子からの立ち上がりを10回行ったとしても、
10回やっても全く余裕がある
少し頑張ればあと何十回もできそう
筋肉への負荷をほとんど感じない
のであれば、筋力向上を目的とする運動としては負荷が不足している可能性があります。
反対に、
フォームを維持できない
関節に痛みが出る
バランスを大きく崩す
安全に戻せない重量を扱う
ほど重くする必要もありません。
軽いか、重いかではなく、
今の身体にとって「適切な負荷」か。
高齢者の筋トレでも、この考え方は変わりません。
高齢者の筋トレはどれくらいの負荷が必要?2026年の研究から考える
2026年7月、日本老年医学会の学術誌に、50歳以上を対象としたレジスタンストレーニングのシステマティックレビュー・メタ解析が発表されました。
対象となったのは18研究・1,283人です。
研究では、
比較的高い強度:1回だけできる最大重量の70%以上
低〜中強度:70%未満
を比較しています。
その結果、比較的高い強度のトレーニングは、低〜中強度と比べて、
レッグプレスやレッグエクステンションなど下半身筋力の向上が大きい
という結果でした。
一方で、骨密度や転倒、研究で報告された有害事象については、群間で明確な差は確認されませんでした。
だから全員が重い重量を持てばいい、ではない
ここは重要です。
この研究結果を見て、
「高齢者も70%以上でやればいい」
と単純に決めることはできません。
年齢が同じでも、
- 現在の筋力
- 運動経験
- 関節の状態
- バランス能力
- 持病や治療状況
- トレーニングフォーム
は違います。
だから、
年齢だけを見て軽くするのでもなく、
研究だけを見て重くするのでもない。
その人の身体を見て負荷を決める。
これが実際の高齢者の筋トレでは重要です。

高齢者の筋トレは「見た目の筋肉」のためだけではない
筋トレというと、
「筋肉を大きくするためのもの」
と思われることがあります。
しかし、年齢を重ねたときに必要になる筋力は、もっと日常的なものです。
椅子から立つ
脚・お尻・体幹などを使って、自分の身体を持ち上げます。
階段を上る
片脚ずつ身体を支え、上へ持ち上げる力が必要です。
荷物を持つ
腕だけではなく、脚・背中・体幹も使います。
自分の身体を支える
立つ・歩く・方向を変えるなど、日常のさまざまな動作に筋力が必要です。
2026年に発表された別のシステマティックレビュー・メタ解析でも、60歳以上の成人では、レジスタンストレーニングによって
筋肉量・筋力・身体機能
の改善が確認されています。
つまり筋力をつける目的は、
「何kg持ち上げられるか」
だけではありません。
これからも自分の身体で、
やりたいことをできる力を残す。
これも高齢者の筋トレの大きな目的です。

「何歳から始める?」より、今の身体から始める
「もう○歳だから遅い」と考える人もいます。
でもトレーニングで必要なのは、年齢だけを見ることではありません。
例えば同じ70歳でも、
何十年も運動を続けている人
最近まで仕事でよく歩いていた人
何年もほとんど運動していない人
身体機能に不安がある人
では、スタート地点が違います。
だから、
「70歳ならこのメニュー」
と一括りにはできません。
最初に見るのは「できること」
例えば、
- 椅子から安定して立てるか
- スクワット動作ができるか
- 片脚で身体を支えられるか
- 押す・引く動作ができるか
- どれくらいの負荷ならフォームを保てるか
- 運動後にどれくらい疲労が残るか
こうした現在の状態を確認します。
軽い負荷から始める人もいます。
ある程度の重量を最初から扱える人もいます。
大切なのは、
何歳かではなく、
今どこから始めるのが適切か。
ここを見つけることです。
高齢者の筋トレは「少しずつ重くする」ことも大切
最初に5kgがちょうど良かったとします。
数週間続けて、
フォームが安定した。
回数も増えた。
以前より余裕がある。
それでも半年後までずっと5kgのままでいいとは限りません。
身体がその負荷に慣れてきたなら、
重量を少し増やす
現在のフォームを維持できる範囲で負荷を上げます。
回数を増やす
同じ重量でも、適切な範囲で行える回数を増やします。
動作を変える
より安定した動作から、少し難しい動作へ進める場合もあります。
セット数を調整する
身体の状態に合わせ、トレーニング全体の量を変えます。
こうして段階的に負荷を調整します。
これは若い人だけに必要な考え方ではありません。
高齢者の筋トレでも、
身体が強くなったら、それに合わせて負荷も少しずつ変える
ことが大切です。

重い重量より先に確認したいこと
ここまで負荷の重要性を説明しましたが、「重いものを持つこと」だけが目的ではありません。
特に運動経験が少ない場合は、
- 基本的なフォーム
- 呼吸
- 安全なマシンの使い方
- 自分に合う可動域
- どのくらいの疲労が残るか
- 次回までに回復できる量か
を確認します。
また厚生労働省も、高齢者の身体活動について、
個人差を踏まえて強度や量を調整し、可能なものから取り組む
ことを基本としています。
特に身体機能が低下している場合には、安全や転倒にも配慮する必要があります。
持病がある方、治療中の方、運動中の症状に不安がある方などは、必要に応じて医療機関へ相談したうえで運動を進めることも大切です。
「安全だからずっと軽い」ではなく、
安全にできる範囲を確認しながら、身体に必要な負荷へ進める。
この順番で考えます。
高齢になる前から筋力を作っておくという考え方
そして、今日の記事は高齢者だけの話ではありません。
「高齢者になったら筋トレしよう」ではなく、
今から筋力を積み上げておく。
という考え方もあります。
例えば現在、
階段は普通に上れる。
重い荷物も持てる。
床から簡単に立てる。
長時間歩いても問題ない。
なら、「困っていないから筋力は必要ない」と思うかもしれません。
でも身体づくりは、
できなくなってから取り戻す。
だけではなく、
できているうちに、その能力を高めておく。
という考え方もできます。
将来必要になる筋力を、
将来になってから作り始める必要はありません。
9月15日の「老人の日」を、自分のこれからの身体を考えるきっかけにしてみてもいいと思います。
E-Fitnessでは年齢だけで重量を決めません
E-Fitness
では、
「○歳だから軽い重量にしましょう」
という決め方はしません。
まず現在の状態を見ます。
① 現在の動き
スクワット、押す、引くなど、基本的な動作を確認します。
② フォームと可動域
無理なく安定して動ける範囲を確認します。
③ 現在の筋力
軽い負荷から始め、どの程度なら安全に扱えるかを見ます。
④ セット後の余力
あと何回できそうか、フォームが崩れていないかを確認します。
⑤ その後の変化
重量、回数、フォーム、日常動作などがどう変化しているかを確認します。
最初は軽い重量だった人でも、身体が強くなれば負荷を上げます。
逆に運動経験が豊富でも、その日の状態によって負荷を下げることがあります。
見るのは年齢だけではありません。
その人の今の身体です。
年齢に身体を合わせるのではなく、
今の身体にトレーニングを合わせ、そこから少しずつ強くする。
これがE-Fitnessで考える高齢者の筋トレです。

まとめ|高齢者の筋トレは「年だから軽く」だけで決めない
高齢者の筋トレは、軽い運動だけを繰り返せばいいわけではありません。
厚生労働省は、高齢者にも筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。
また2026年の研究では、50歳以上において比較的高い強度のレジスタンストレーニングが、低〜中強度より下半身筋力の改善に有利だったことも報告されています。
ただし、
全員が重い重量を持つ必要はありません。
重要なのは、
今の筋力。
運動経験。
フォーム。
身体の状態。
そして目的。
それらに合わせて負荷を設定し、強くなったら少しずつ進めていくことです。
9月15日の「老人の日」をきっかけに、
「何歳まで筋トレできる?」ではなく、「これからも何をできる身体でいたい?」
と考えてみてください。
年齢だけで、できることを決めない
E-Fitnessでは、年齢だけではなく、現在の筋力・フォーム・可動域・運動経験を確認しながら、
その人に合った負荷でトレーニングを進めます。
福岡市博多区呉服町・東区箱崎周辺で「年齢的に筋トレを始めても大丈夫かな」と迷っている方は、
まずは今の身体で何ができるかを体験トレーニングで一緒に確認してみてください。
参考情報
全国社会福祉協議会「令和8年 老人の日・老人週間キャンペーンについて」
https://www.shakyo.or.jp/bunya/kourei/week/index.html
厚生労働
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