「筋肉を意識して!」
「お尻を使って!」
トレーニング中に、こんな言葉を耳にしたことはありませんか?
でも実際、「効かない」「フォームが安定しない」と悩む人の多くは、
“筋肉”よりも“関節の動き”を意識できていないことが原因なんです。
実はこれ、科学的にも裏付けのある話。
この記事では、その理由と、明日からのトレーニングで意識すべきポイントを解説します。

① 運動学の基本:筋肉は“関節運動の結果”である
筋トレは「筋肉を動かす」行為ではなく、正確には関節を動かす運動です。
解剖学的には、筋肉が収縮して関節を動かすための力を生み出しています。
たとえばスクワット。
• 股関節が伸展する → 大臀筋・ハムストリングスが働く
• 膝関節が伸展する → 大腿四頭筋が働く
つまり、「筋肉を使う」とは「関節をどう動かすか」を正しく行うこと。
筋肉は“結果”関節の動きは“原因”です。
参考:運動学(Kinesiology)では、筋活動は「関節角度変化」の関数として定義される(Neumann, Kinesiology of the Musculoskeletal System, 2017)
② 神経科学の視点:脳は“筋肉”ではなく“動作”を制御している
脳が運動指令を出すとき、
「大腿四頭筋を収縮させろ」ではなく「膝を伸ばせ」という**動作単位(movement pattern)**で指令を送ります。
運動神経は複数の筋肉を“動作目的”に応じてまとめて働かせており、
意識的に特定の筋肉だけを動かすことはほとんどありません。
つまり——
脳は“関節の動き”をコントロールすることで筋肉を動かしている。
参考:Sherrington (1906), The Integrative Action of the Nervous System
👉 運動制御は単一筋ではなく、複合的な「動作プログラム」として行われることを示唆。
③ 力学的にも「動きの軌道」が重要
関節の動き方が変わるだけで、筋肉の使われ方は大きく変わります。
たとえば:
• スクワットで膝が前に出る → 膝関節優位 → 大腿四頭筋が主導
• ヒップヒンジで股関節が主導 → 大臀筋・ハムが主導
筋肉がどの程度働くかは、関節の角度と“てこの長さ(モーメントアーム)”によって決まる。
つまり、関節の動きが最適でなければ、狙った筋肉に正しく負荷がかからないのです。
参考:Enoka (2008), Neuromechanics of Human Movement
👉 筋張力とトルク発揮は関節角度・モーメントアームに依存する。
④ 「筋肉を意識する」も有効、でも順序がある
一方で、筋肉を意識する(=マインド・マッスル・コネクション)も完全に否定はできません。
実際、筋電図(EMG)研究では、筋肉を意識すると活動量が増えることが確認されています。
ただし——
これはフォームが安定している中〜上級者に限られます。
初心者が筋肉にだけ意識を向けると、関節の動きが乱れ、かえって効かなくなる。
参考:Snyder & Fry (2012), J Strength Cond Res
👉 「意識的に大胸筋を使おう」とすると、ベンチプレス中のEMG活動が約22%上昇。
ただしフォームの安定性が条件。
⑤ 実践で意識すべき3つのポイント
1️⃣ 「どの関節が動いているか」を常に感じる
→ 例:スクワット中は「股関節を折りたたむ」意識を持つ。
2️⃣ “関節のスタートとゴール”を明確にする
→ どこから動き始め、どこで止めるかを統一する。
3️⃣ 筋肉は“後からついてくる”ものと考える
→ 関節の動きが整えば、自然と狙った筋肉が働く。
この3つを徹底するだけで、フォームの安定感と効き方が劇的に変わります。
筋トレの主役は「筋肉」ではなく「動き」
筋肉を意識するのは間違いではありません。
でも、“効かせるフォーム”を作るためには、
まず「関節の動きを正しく再現する」ことが最優先です。
E-Fitnessでは、「筋肉を鍛える前に、動きを整える」ことを大切にしています。
最短で効果を出したい方、怪我なく長くトレーニングを続けたい方は、
ぜひ一度“動きの質”にフォーカスしたセッションを体験してみてください。