誰もが一度は考える「部分痩せ」の謎
「お腹だけ痩せたい」「太ももだけ細くしたい」「二の腕のぷよぷよをなくしたい」
多くの人がそう願いますが、果たして“その部分だけ”を狙って脂肪を落とすことは可能なのでしょうか?
トレーナーの間ではよく「部分痩せは不可能」と言われます。
でも、それには明確な科学的根拠があります。
この記事では、「脂肪の部分痩せ」と「筋肉の部分肥大」、それぞれの真実を解説します。

結論|脂肪の“部分痩せ”は基本的に不可能
脂肪はエネルギーとして使われる際、血液を通して全身的に動員されます。
つまり、「お腹を動かした=お腹の脂肪が燃える」わけではありません。
代表的な研究
1971年、デンマーク・コペンハーゲン大学の研究で、被験者に片腕だけを毎日1時間トレーニングさせる実験が行われました。
結果、筋肉量はその腕で増えたものの、脂肪の減少は全身で均等に起こったのです。
つまり、「動かした場所=脂肪が減る」という理論は科学的に否定されています。
その後も複数の研究で同様の結果が報告されており、脂肪の分解はホルモンや血流を介して全身で起こるため、局所的な脂肪燃焼は起きないことがわかっています。
ただし、“見た目の部分痩せ”は可能!
ここで大切なのは、「脂肪を局所的に減らすこと」はできなくても、
筋肉と姿勢の変化によって“細く見せる”ことはできるということです。
✅ 太ももを細く見せたい場合
• 外側の張り(大腿筋膜張筋)を使いすぎず、内もも(内転筋)を活性化する
• 股関節の可動域を広げ、骨盤の傾きを整える
このようにトレーニングと姿勢を変えることで、脚全体のシルエットがすっきり見えるようになります。
✅ お腹を引き締めたい場合
• 腹直筋だけでなく、腹横筋や腹斜筋といったインナーマッスルを強化する
• 骨盤の前傾・後傾を整えることで、ウエストラインをスリムに見せる
脂肪の量が変わらなくても、「くびれて見える」「お腹が引き締まって見える」といった見た目の変化を作ることが可能です。
🔍 見た目の部分痩せ=筋肉と姿勢による錯覚的変化。
一方で、“部分的な筋肥大”は可能!
脂肪の燃焼は全身レベルでしか起きませんが、筋肉は部位ごとに発達をコントロールできます。
つまり、「鍛える場所を選ぶ」ことで、狙った部位を発達させることが可能です。
ポイント:筋繊維の動員範囲は限定的
筋肉は、動作の角度・可動域・負荷方向によって使われる部位が変わります。
たとえば同じ胸のトレーニングでも、ベンチの角度を変えるだけで刺激される部位が変わります。
目的 種目例 狙う部位
胸の上部を厚くしたい インクラインベンチプレス 大胸筋上部(鎖骨部)
二の腕を太くしたい ナローベンチプレス/キックバック 上腕三頭筋
お尻の下部を持ち上げたい ヒップスラスト/ケーブルキック 大殿筋下部
このように、フォームや角度を変えることで、同じ筋肉でも異なる部分を狙って成長させることができます。
これが「部分的筋肥大」です。
部分痩せは“錯覚”、部分肥大は“現実”
ここまでをまとめるとこうなります。
比較項目 部分痩せ(脂肪) 部分肥大(筋肉)
起こる範囲 全身的 局所的
科学的根拠 ほぼ否定 明確にあり
狙い方 姿勢・筋バランスで“見せ方”を変える 種目や角度で“狙い撃ち”可能
つまり、脂肪の部分痩せは幻想ですが、“見た目を変えること”は完全に現実です。
効率よく見た目を変えるトレーニング戦略
① 大筋群を中心に全身を動かす
脂肪を落としたいなら、まずは消費カロリーの大きい種目を優先しましょう。
• スクワット
• デッドリフト
• 懸垂・ラットプルダウン
• ベンチプレス
これらのトレーニングは、広範囲の筋肉を動員して代謝を最大化します。
② 弱点部位を狙った“部分肥大トレ”
全体を動かした上で、
• 二の腕のハリを出す
• 胸を持ち上げる
• ヒップラインを整える
といった「仕上げトレーニング」を行うことで、見た目の印象を自在にデザインできます。
「脂肪を狙う」より、「形をデザインする」
部分痩せは“できない”けれど、見た目を変えることはできる。
脂肪をピンポイントで減らそうとするより、
全身を動かして代謝を上げ、筋肉のバランスを整えたほうが確実に結果が出ます。
科学的根拠とボディデザインの実践。
これが、本当に続くダイエットとリバウンドしない身体づくりの鍵です。